無料の3Dモデリングアプリ「Scaniverse」LiDARなし、Androidスマホにも対応したアプリを紹介
Scaniverseは、Niantic社が提供する無料の3Dスキャンアプリで、スマートフォンのカメラを利用してリアルな3Dモデルを生成できるツールです。
従来はLiDARセンサーを搭載したデバイスが必要でしたが、新たに導入された「3D Gaussian Splatting」技術により、LiDAR非搭載のスマートフォンでも高精度なスキャンが可能となりました。この技術により、3Dモデル生成がさらに簡単かつ精度の高いものになっています。
SplatとMesh:2つのスキャンモード
Splat(スプラット)とMesh(メッシュ)は、Scaniverseで利用可能な2つのスキャンモードです。
それぞれ異なる用途に応じて選択することができ、スキャン結果の特性や利用目的に応じたモデリングが可能です。
尚、Splatはiosのみ対応しており、Androidスマホは未対応です。
Splat機能
Splatは、3D Gaussian Splatting技術を使用して、光の反射や透明感を忠実に再現したフォトリアリスティックなシーンを生成します。複数の画像からポイントクラウドを作成し、それらのポイントを3Dガウス分布に変換することで、物体やシーンの細かいディテールを再現します。この技術は、視点や光の角度によって異なる見え方を再現できるため、特に光沢のある物体や複雑な光の反射が重要なシーンで強みを発揮します。
Splatモードは、背景や広範囲なシーンをキャプチャする際に特に効果的です。水やガラスのような透明な物質や、距離のある被写体を撮影する場合に優れたリアリティを提供します。また、全てのデータ処理がデバイス内で行われるため、スキャン結果はすぐに確認・共有可能です。
Mesh機能
一方、Meshは従来の3Dモデリング技術であるメッシュ構造を使用します。メッシュは三角形のポリゴンで構成され、正確な形状を定義するために使用されます。このモードは、3Dゲームエンジン(例えばUnreal EngineやUnity)など、外部ソフトウェアでの利用を目的とする場合に適しており、独自の編集やカスタマイズを行うことが可能です。
Meshは特に精密な測定や、背景を含まずに独立したオブジェクトをモデリングしたい場合に最適です。背景や周辺環境の影響を排除し、特定の物体に焦点を当てたモデリングを行う際に役立ちます。
NianticのAR戦略と理念
Nianticは、「ポケモンGO」などのARゲームで知られていますが、AR技術のリーダーとしての地位を確立しています。Nianticは、ARを通じて現実世界を拡張し、デジタルと物理的な体験を融合させることを目指しています。Scaniverseもその一環であり、Nianticの目標である「現実世界のデジタル地図の構築」を支える技術のひとつです。
Nianticは、ゲーム会社という枠を超えたARプラットフォームの提供を目指しており、Scaniverseのようなツールを使うことで、ユーザーは自分の周りの世界をデジタル空間に記録・共有し、さらにその情報をAR体験に利用することが可能です。
まとめ
Scaniverseは、3D Gaussian Splatting技術の導入により、LiDARセンサーが無いスマートフォンでも高精度な3Dスキャンが可能となり、より広範なユーザーが利用できるようになりました。
Splatはフォトリアリスティックなスキャンを可能にし、Meshは外部3Dソフトウェアへのエクスポートに適しています。NianticのAR戦略の一環として、Scaniverseは現実世界をデジタルに再現する重要なツールであり、未来のAR体験の基盤となるでしょう。
コメント